高野山の書庫の扉をひらく 「空海からのおくりもの」展 印刷博物館で2011年4月23日(土)~7月18日(月・祝)開催


わが国に真言密教をもたらした空海は
"書聖"と呼ばれる書の達人であった。
文字に魂を込め、文章に心を吹き込んだ空海が
わが国にもたらした思想と文化は
深く、広く、大きい。


 創業100周年記念のビル

 東京の飯田橋駅に近い「トッパン小石川ビル」は、凸版印刷株式会社が創業100周年の記念事業の一つして計画したもの。先端的なオフィスだけでなく、内部には「音楽ホール(トッパンホール)」 や「印刷博物館」、さまざまなパブリックアートが配置され、企業の社会的貢献を目指した複合的なビルになっている。設計は最高裁判所庁舎や日本郵船天王洲ビルなどで知られる岡田新一設計事務所。2000年3月に竣工している。


 印刷文化を身近に

 このビルにある「印刷博物館」は、印刷文化の過去・現在・未来をわかりやすく伝えるもの。広々としたスペースに「かんじる・みつける・わかる・つくる」の4つのキーワードを元に、さまざまな試みを展開している。中でも、スーパーコンピューターを駆使した精緻な映像を大型スクリーンで上映する「VR(Virtual Reality)シアター」は圧巻。印刷から高度な映像システムへ、21世紀の多様化するメディアの動きを象徴する試みでもある。


 わが国の印刷の原点がここに

 今回の企画展「空海からのおくりもの」は、"山の正倉院"と称される高野山の秘宝79点(国宝2点、重要文化財31点を含む)を公開するもの。数点を除き、高野山から「下山」してくるのは初めての資料ばかりだ。いわば、奈良時代に始まるわが国の古印刷文化を総覧しようという試みである。


 唐から文化を持ち帰った空海

 空海は留学僧として804年に、最澄らとともに遣唐使船に乗り込んで渡唐している。唐の青龍寺で、正統の真言密教を継いだ第七祖・恵果和尚に師事、翌805年には早くも灌頂(かんじょう)を受け、「遍照金剛(へんしょうこんごう)」の法号とともに、真言密教の第八祖となっている。わずかに31歳である。
 806年に九州の博多に帰り着いたとき、空海は唐から膨大な密教の教典、法具、曼荼羅などを持ち帰っている。"日本が生んだ最大の天才"と称されるだけに、空海は真言密教を広めただけでなく、言語や書、美術、土木、教育など広い分野に影響を与え、わが国の思想や文化の基礎をつくったといってよい。


 空海の大きさを知る

 弘法大師空海が請来した教典や教書は、鎌倉時代に盛んに出版されるようになり、「高野版」と呼ばれて数多く世に送り出されている。わが国の印刷文化は仏教を抜きには語れないわけだ。今回の展覧会では、こうした資料の展示によって、書物の誕生からその役割を知るとともに、空海が日本語の成立過程で果たした影響の大きさを改めて認識することになる。
 同時に「空海からのおくりもの"ん"の誕生秘話」(大東文化大学准教授・山口謡司氏)についての講演や高野版木を使った摺り実演のイベント、「高野大師行状図画」に彩色するワークショップなどの楽しみも用意されている。


 原色で再現されるわが国最古の曼荼羅図

 今回の展覧会の最大の見どころは、印刷博物館に併設されている「VRシアター」で「両界曼荼羅の宇宙」と題される映像コンテンツを見られることだろう。
 これは、高野山に伝わる重要文化財の「絹本着色両界曼荼羅図」で、空海が唐から持ち帰った原図曼荼羅に最も近いとされているもの。別名「血曼荼羅」と呼ばれているのは、これを寄進した平清盛が、自らの血をまぜて彩色させたと伝えられているからだ。現存する日本最古の彩色曼荼羅が、最新のデジタル技術で色鮮やかに蘇る。


 今こそ空海に学ぶ

 弘法大師空海はその活動領域の広さと深さから、数々の伝説とともに語られてきた。しかし空海は仏教だけでなく、日本の言語領域の基礎をつくったという点でもっと見直されていい。難解とされている数々の教書にも、詩的で美しい表現が随所に散りばめられている。

生れ生れ生れ生まれて生の始めに暗く
死に死に死に死んで死の終りに冥(くら)し 
	「秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく)」巻上

 「人は誰でも仏性を持っている。ただ、それに気づいていないだけだ」と説く空海に、今こそ学ぶべきかもしれない……。


 入場料収入は災害基金に全額寄付

 なお、一般公開に先立って4月22日(金)に開かれた内覧会で、凸版印刷株式会社の足立直樹代表取締役会長は「今回の展覧会の入場料収入は、展示にご協力いただいた高野山の<高野山真言宗特別災害基金(郵便振替口座:00970-1-43975)>を通じて、東日本大震災で被災された皆様にお役立ていただけるよう全額、寄付させていただきます」と述べた。足立会長は「先だって、高野山奥の院に弊社の<先人の碑>を建立させていただいたばかり。これもきっと何かのご縁ですね」と高野山の関係者に深々とお礼を述べていた。
 被災地の一日も早い復興を祈らずにいられない。
(Text/飯田 徹)

 

舞台「淋しいのはお前だけじゃない」公演概要

会期: 2011年4月23日(土)~7月18日(月・祝)
会場: 印刷博物館
開館時間: 10時~18時 入場は17時30分まで
休館日: 毎週月曜日(2011年7月18日は開館)
入場料: 一般800円、学生500円、中高生300円
後援: 読売新聞社
協力: 高野山真言宗総本山金剛峰寺
財団法人高野山文化財保存会

 

印刷博物館

Tel:03-5840-2300
URL:http://www.printing-museum.org/

 

プレゼント

「空海からのおくりもの」展のご招待券を2名様5組、計10名様にプレゼントします。

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