猛スピードで“絵を描く”行為そのものを
ショーアップさせたオリジナル・ドローイング・ショー
「The Cube(ザ・キューブ)」。
それは、3次元(3D、立体)の世界に時間軸をも加えた
“4Dアート”とも呼ぶべき驚きの世界だ。
| 日時: | 2012年1月18日(水)〜1月26日(木) |
| 会場: | 博品館劇場(東京・銀座) |
| チケット: | 全席指定6,500円 |
| 取り扱い: | e+(イープラス) |
アクション・ペインティングの旗手、ジャクソン・ポロック(米国の画家、1912~1956)は、キャンバスに絵の具をしたたらせる「ドリッピング」の手法で、絵を描く行為そのものを画面に表現しようとした。ニューヨークの近代美術館などで見られる彼の抽象的な描線は、画家の息づかいをも感じさせる動的な“アクション”にあふれ、それまでの絵筆で描く具象アートにはない新しさで見る人を驚かせた。「それまでに誰もやったことがない」のが芸術だとしたら、それはもう、まぎれもなく「アート」だった。
今回のオリジナル・ドローイング・ショー「The Cube」もまた、誰も経験したことがない前人未到のアートと言ってよいだろう。目にも留まらぬ早業で泰西名画を次々に描く行為は、これもまたもう一つの“アクション・ペインティング”であろう。描かれるのはジャック ルイ・ダヴィッドの「アルプスを越えるナポレオン(1801)」やレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐(1498)」、さらには葛飾北斎の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏(1823~1833)」など、誰もが一度は目にしたことのある歴史的な名画だ。それだけに、人間の限界を超えた超高速ドローイングの技にはただただ、驚嘆させられる。
しかも、画家はただ黙って黙々と絵を描いているわけではない。舞台には美術にプラス、演劇や音楽、映像表現の要素が加わり、その全体を融合させた新しいエンターテインメントとなっている。描かれた“結果”だけを鑑賞する美術館の展覧会とは趣が異なる。こちらは絵を描くプロセスそのものをショーとして楽しむだけでなく、どのような順序で描かれるのか、その過程までまるごと知ることができる。そのスリリングな驚きは新鮮で、これまでのショービジネスでは見られなかったものだ。
ドローイング・ショー「The Cube」が“キューブ(立方体)”とネーミングされているのには訳がある。絵が描かれるキャバスが平面でなく、立方体になっているのである。その仕掛けによって、墨の筆一本で描かれた素描が瞬時に、彩色を施したカラー画面になり、画面から水のあふれ出る3次元立体絵画に早変わりする。しかも、時間とともに変貌する画面に目を奪われながら、同時に迫力満点の音楽や映像表現も楽しめる。多少とも絵心のある方なら、エンターテインメントとしてだけでなく、作品の完成度の高さにも驚かれることだろう。
「The Cube」の物語は師匠と弟子との出会いから始まり、二人の芸術表現の葛藤、誤解など、人間の生きるドラマがアート(スーパー・ドローイング・パフォーマンス)を通して描かれる。
弟子は師匠の指導のもとで究極の絵画「山河」を完成しようとするが、納得できるものに到達できない。破局する二人の関係。師匠が完成させた究極の滝の絵画は、水音とともに水がキャンバスから流れだし、水音は弟子の涙に変化する。悲しにみに暮れ、苦悩する弟子。それを諭す師匠。そして、二人の関係には予想もしなかった意外な展開が……。
出演しているのは韓国のアーティスト、キム・ジンギュ(Kim Jin Kyu)氏を中心とする3名。ジンギュ氏は弘益大学大学院の映像学科修士課程を卒業後、長安大学で専任教授を務めるなど、学究肌のアーティストとして知られる。その迷いのない筆さばきは自信にあふれ、天賦の才を遺憾なく発揮している。「子どものころ、誰もが無心に絵を描いたように、絵は結果ではなく、描くプロセスが楽しい。絵の本質は、実は描いている最中の楽しさにあるのですね。その楽しさを共有できたら嬉しい」とジンギュ氏。韓国ではTV出演なども多い売れっ子アーティストだ。
この舞台の構成・演出に当っているのは又平 享(またひら すすむ)氏。英国の劇団「リンゼイ・ケンプ・カンパニー」を初来日させたり、スティーブン・バーコフの演出で評判になったカフカの「変身」を、宮本亜門の演出、夏木マリの主演で制作したりと、異色のプロデューサーとして知られる。最近では「グローリー・ゴスペル・シンガーズ」の連続公演を成功させるなど、日本と英国、米国、アジアの国々とを行き来しながら、ミュージカル、演劇、バレエ、ダンス、コンサートなど、数多くの分野で舞台作品を制作、プロデュースしている。「これは、驚きですね。ショーそのものが大変な驚きに満ちています。そこをぜひ楽しんでほしい」と意欲満々だ。
ショータイムは約1時間40分。「絵を描く」行為を、さまざまな工夫を凝らしながらスピード感あふれる「ショー」にまで仕立て上げた技量の高さには舌を巻く。退屈するどころか、時間が経つのを忘れさせる。めまぐるしい舞台に、つい「これが絵の描き方なの?」と驚くことの連続だ。
この衝撃を世界に広げようと、2012年7月から東京、横浜をはじめ日本各地を巡る全国公演をスタート、2013年にはスコットランドの「エジンバラ・フェスティバル(エジンバラ演劇祭)」に出場して舞台芸術部門での受賞を目指している。驚きのアートに国境はなさそうだ。
(Text/飯田 徹)
Tel. 03-3402-9911(平日10:00~18:00)
http://www.tate.jp
http://www.originaldrawingshow.co.jp
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「The Cube(ザ・キューブ)」2012年1月19日(木)の公演チケットを2名様10組、計20名様にプレゼントします。![]() |