上質な製品を手にすると
こころが自然に豊かになる。
豊かな気持ちになると
振る舞いはいつしか「紳士」になっている。


「紳士でありたい」という自覚

 日本人の精神的な骨格をつくったものが「武士道」だとすれば、英国のそれは「紳士道」ということになりそうだ。そのGentlemanのエッセンスは「Common Sense(良識)」という言葉で表現されている。
 作家の開高 健氏はこれを「たとえ一人でお風呂に入っていても、決しておならなどしないことだ」と言っていた。「一人を慎むことができるのが紳士」というわけだ。してみると、フランス語で表現されている紳士の役割「Noblesse Oblige(高い地位に伴う精神的な義務)」とは、ちょっぴりニュアンスが異なるようだ。紳士は、地位や所得にかかわらず、「紳士でありたい」と自覚すれば誰もが紳士になれるからだ。


良識を知るのが「紳士」

 ところで、開高氏の言う「一人を慎む」とはどういうことだろうか。
 それは、私利私欲を控えることなのではなかろうか。つまり、自分の利己的な欲望を抑えて、周りの状況を優先させること、物事をフェアに判断し、自分を優先させないこと、それが人としての「良識」というものだろう。
 これは、欲と欲とがぶつかり合う現代社会にあっては、なかなか容易なことではない。「紳士的な振る舞い」をしているうちに、「椅子取りゲーム」の椅子はあっという間に持ち去られてしまうからだ。しかし「紳士」なら、はしたないまねなどできない。そのためには、厳しい精神修養が必要だ。
 同時に、紳士としての身だしなみも重要になる。身だしなみを整えておくことは、「自分は紳士なのだ」と自分自身に言い聞かせることになり、恥ずべき行為を自ずと戒めてくれる。


世界最古の理髪店

 そうした「紳士の自覚」を持った著名人に愛されたのがロンドンのSt. James’s St.にある理髪店「トゥルフィット&ヒル(TRUEFITT & HILL)」。1805年の創業というから、すでに200年を超える老舗である。ギネスブックに認定された世界最古の理髪店というのもうなずける。
 王室御用達というそのお店の顧客リストをのぞいてみれば、英国のロイヤルファミリーや貴族だけでなく、元首相のサー・ウインストン・チャーチルから英国生まれのハリウッドスター、ケーリー・グラントまで、名士の名がキラ星のごとく並んでいるのを発見することだろう。それだけで立派な紳士録ができそうだ。        


格調高いグルーミング用品

 「トゥルフィット&ヒル」がここまで人気を保ち得た秘密は、理髪の技術だけでなく、紳士にふさわしい数々のグルーミング用品を自ら開発してきた点にある。最高レベルの天然アナグマの毛を使用したシェービングブラシやシンプルでエレガントなスタンド、陶器製の専用シェービングマグ、さらにウッドボウルに収められたシェービングソープなど、シェービングを男の「儀式」にまで高めてくれる格調にあふれている。
 香りごとに、オーデコロン、シェービングクリーム、ローション、バームまで、ラインアップを揃えることができるのも大きな楽しみの一つ。創業年を示す「1805」は大海原を彷彿とさせる存在感があり、「トラファルガー」にはスパイシーな力強さがみなぎっている。フルーティで爽やかな印象を残す「ウエストインディアンライム」は若々しく、英国の軍艦にちなんで名付けたという「グラフトン」にはクラシックな落ち着きと張りがある。


身だしなみの基本は「シェービング」

 「トゥルフィット&ヒル」が考える男の身だしなみの基本は、きちんとした「シェービング」にある。ひげを剃る、あるいはひげをきれいに整えておくことは、紳士としての第一の条件なのである。次いでヘアスタイルを整える。さらに、健全なスキンケアを心がけておけば、まずは及第といってよい。「トゥルフィット&ヒル」には、そのためのグルーミング用品が各種、用意されている。
 「トゥルフィット&ヒル」は伊勢丹新宿店、大阪・梅田の阪急百貨店メンズ館に続いて昨年11月、英国ブランドだけを集めた高級セレクトショップ「ヴァルカナイズ・ロンドン(VULCANIZE London)」のオープンに合わせて新たに売り場を設けた。
 「紳士の自覚」をお持ちの方はぜひ一度、東京・南青山の同店に立ち寄ってみていただきたい。きっと毎朝のシェービングが待ち遠しくなるはずだ。

(Text/設楽康平、写真提供/TRUEFITT & HILL)

 

ヴァルカナイズ・ロンドン(VULCANIZE London)

東京都港区南青山5-8-5
Tel. 03-5464-5255
http://www.vulcanize-lon.com