1998年のZARA日本進出1号店は渋谷だった。
11年後の渋谷2号店はZARAにとって日本で50番目のお店。
Fast Fashionの店舗展開は文字通りFastだ。


 

 スペインに本社を置くインディテックス(INDITEX)グループは、世界73カ国で8つのブランドを展開、4,430店舗、約9万人のスタッフを擁する世界でも有数のアパレルメーカー。ZARAはその主力ブランドで、スウェーデンのH&Mや米国のGAP、Forever 21、日本のユニクロなどと激しくシェアを競っている。
 その最大の特徴は「スピード」だ。
 毎日平均100点、年間3万点にも及ぶ新商品を繰り出し、毎週2回はスペインから全世界のお店に新しい商品が届くという徹底した「時間との競争」は、モードの世界を「生鮮3品(肉・魚・野菜)に変えた」と言われるほど水際立っている。


 

 その「スピード」を支えているのが、企画から製造、流通、販売までをすべて自社で行う垂直統合(SPA)と独特の店舗哲学。
 ZARAのお店作りはユニークだ。ZARAのロゴを大胆にあしらうところは共通しているが、都市部の最も目立つ場所に、店舗ごとに異なったデザインでお店を展開している。そこには「お店こそ市場の声を聞く最大の情報収集装置」との考え方がある。
 つまりZARAは、多くのデザイナーズ・ブランドが声高に自分のデザインを主張しているのとは反対に、あくまで消費者の声に耳を傾け、消費者が何を必要としているのかを感じ取り、素早くその要望に応えようとする。「着ることへの関心は世界共通」という信念で「Fashion for all(すべての人のためのファッション)」を掲げ、その理念を具現化しようとしている。店舗は、消費者とブランドをつなぐための重要なインターフェイスというわけだ。



 

 今回の「ZARA渋谷公園通り店」は、1階から5階までにレディースとメンズが入るZARAだけのショップ。黒を基調としたインテリアと、スポットを多用したライティングは、さながらライブハウスのような雰囲気。
 ここでZARAは、オープニングイベントで初めてのファッションショーを開催した。09~10年の秋冬物の新作を披露するのはもちろんのことだが、1階から5階まで、モデルが店内をめぐりながらファッションを披露するモデルウォークを展開した。そのねらいは、店内のレイアウトデザインがいかにお客さんの動線を意識したものになっているか示すことにあったのではなかろうか。
 ZARAは、店内のそこここにオリジナルデザインの什器をさりげなく配置しながら、お客さんが無理なく店内を巡れるような「ウェーブモーション(Wave Motion)」を心がけている。その目論見は、見事に成功しているように見える。


 

 さて肝心のモードの数々だが、レディースはよりデザイン性を高めて、ちょっぴり贅沢な雰囲気を漂わせており、メンズは独自にデザインしたアクセサリーなども使ってかなり年齢層を広げている。
 Fast Fashionは値段の安さだけが注目されて、いささか「値段疲れ」の傾向が見え始めている。やはり肝心の、着てみて気分が「浮き立つ」ようなデザイン性が備わっていないと、やがて飽きられる。その姿勢は、限定商品にもあらわれる。落ち着いたピンクのスパンコールを使用したバレエシューズと、お揃いのクラッチバッグは、大人の女性にも似合う上品なデザインだ。
 ZARAは、Fast Fashionの“コモディティ化”をいち早く回避する手だてを講じて、2010年を元気に勝ち抜こうとしている。
(Text/編集部)

 

ZARA 渋谷公園通り店

東京都渋谷区神南1-22-4
Tel. 03-5456-1600
営業時間/11:00~21:00 年中無休
フロア構成/レディース1~4階、メンズ5階
http://www.zara.com