
睡眠は健康の基本。
しかし、睡眠環境に無頓着な人は案外、多い。
そこでまずはベッドを見直してみよう。

クルマやバッグのブランドならたちどころに10や20は口をついて出て来る人でも、ベッドのブランドとなると「ハテ?」と考え込むことが多いのはなぜだろうか。それは、ベッドが頻繁に買い替える商品ではないせいではなかろうか。
しかし、およそ人生の3分の1を過ごす大切な場所、無関心であっていいはずがない。

以前、お店の人に「これは寝返りがしやすいベッドですよ」と薦められたことがある。しかしよく考えてみれば、睡眠を妨げる寝返りを打たずにすめば、それに越したことはない。
寝返りは、寝ている最中に身体のどこかがうっ血するために、それを和らげようとして無意識に姿勢を変えるために起きる現象とか。そうであれば、体重を支える部分がうっ血しないようなベッドを選ぶべきだろう。

寝心地のよいベッドは、身体の表面に当たる部分は十分にソフトで、体重のかかるところはあくまでしっかりと支えてくれるものでなくてはならない。ベッドの中心部分から縁(へり)に至るまで、柔らかすぎず硬すぎず、どの部分に身体を移動させても沈み込んだりしないものがいい。
ある整形外科医によると、日本人女性のスタイルが急速によくなったのは、「ベッドで寝るようになったせいではないか」という。畳に布団だとどうしてもヒップが扁平になりがちだが、マットレスでヒップを包み込むように支えると、自然な体型に保たれるというわけだ。外的要因で民族の体型がそう簡単に変化するものかどうか、にわかには信じがたいところもあるが、スタイルのいい女性が増えているのは確かなので、ベッドの影響もあるのかもしれない。

ところで、寝心地のよいベッドを探すにはどうしたらよいのだろうか。ショールームのベッドに寝転がってみたところで、本当の寝心地はなかなか分からない。さりとて家に持ち帰って「試乗」というわけにもいかない。いざ買ってしまって、やはり自分には合わなかったとしても、おいそれと買い替えるのは難しい。ベッドはなかなかやっかいな買い物である。
そこであるときから、ホテルに泊まるたびにシーツをはがして、どこのベッドを使っているのか調べてみた。結構、大変な作業だが、ホテルによってそれぞれベッドメイクの仕方が異なるので、それはそれで面白い。
そこで発見したのは、フォーシーズンズホテルに泊まってみると、ベッドはどこも寝心地が良く、それがいずれも「シーリー(Sealy)」だったことだ。

シーリーのベッドは、端から端までゴロゴロ寝転がってみても、均等に体重を支えてくれるし、ベッドの端に座っても、身体の重みで極端に沈み込むことがない。寝ている間もほとんど寝返りを打つことがなく、朝まで同じ姿勢で寝ていられることが多い。
柔らかすぎるベッドだと、どういうことになるか。さる高名な学者ご夫妻とフランスのロワール地方を旅したことがある。ご夫妻の体重差は約50キロ。シャトーホテルの広々としたスイートルームのベッドはふかふかのダブルベッドで、奥様は大きく沈み込むご主人のほうに転がり込むのでなかなか眠れない。ご主人も、片側だけ大きく沈み込むので平らな姿勢が保てないという。とうとうツインベッドの私たちの部屋と替えてほしいとなって、夜中に引っ越すハメになった。おかげでご夫妻にはよく眠れたと感謝され、私たちは3日間、費用は先生持ちで広大な庭園に面したスイートルームを満喫できたというわけだ。心地よい眠りは、どんな贅沢よりも大切なものなのである。

米国のテキサス州シーリータウンで生まれたシーリー製のベッドが快適なのは、独特のスプリング構造によるところが大きい。同社の代表的な製品「ポスチャーテックコイル」は、整形外科医の協力を得て開発されたもので、コイルの両端に微妙な角度がつけられている。この仕組みによって身体の凹凸や体圧に応じて反発力が変化し、体型や体重差が異なっても常に最適な反発力を生み出せるというわけだ。
もう一つは、体圧を感じるベッドの表面部分が、適度にソフトだということ。柔らかすぎず硬すぎず、しっかり身体をホールドしてくれるうえに、タッチはきわめてソフト。「ザ・リッツカールトン東京」や「シャングリ・ラ ホテル 東京」「コンラッド東京」「フォーシーズンズホテル椿山荘 東京」といった高級ホテルの多くがシーリーのベッドを採用するのは、外国人が多く泊まるせいもあるのかもしれないが、こうした性能の良さを熟知しているためだろう。

ベッドは一般に、マットレスとボトムの部分に分かれているが、マットレスはときどき上下を逆にする「ローテーション」を行うと長持ちする。敷きっぱなしにしておくと、体重がかかる部分のスプリングが傷みやすく、それだけ劣化が早くなる。一流のホテルであれば、ローテーションはかなり頻繁に行っているはずだ。
というわけで、わが家の4台のベッドはすべてシーリーに入れ替えた。難点は、居心地がよすぎてこどもたちがなかなかベッドから降りてこないこと。寝過ぎは、これはこれで体内時計を狂わすのでやっかいである。
(Text/設楽康平、写真はシーリージャパン提供)

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Tel. 03-5413-6600
http://www.sealy-bed.co.jp/