岩塩が一粒も取れないせいか、
それとも温泉に恵まれすぎているせいか、
欧米で盛んな“バスソルトの文化”がなぜか日本にはない。
チベット医学に根ざした「NUMCA(ナムカ)」のバスソルトが
わが国のお風呂文化を変えてしまいそうだ。


 外科を進化させた西洋の医学

 世界で行われている現代の医学は、もっぱら「西洋の医学」が主流だ。そのルーツをたどると“医聖ヒポクラテス”を生んだギリシャの医学に至る。しかし、「医学」を体系的に確立したのは、世界初の大学と言われるイタリアのボローニア大学だそうだ。相次ぐ戦争で、西洋医学は特に「外科」の分野を飛躍的に進化させた。その結果、人間の身体は細分化され、あたかも「機械の部品」のように扱われる弊害も生んだのだが……。


 世界には多くの医学がある

 西洋の医学以外にも、インドには「アーユルヴェーダの医学」があり、中国にも経絡(けいらく)で診断する「中医学」がある。鍼灸など中国の伝統医学を取り入れながらも生薬で治療する日本の「漢方」は、実はわが国独自の医学である。国によってはホメオパシーやナチュロパシー、カイロプラクティックといった、それぞれ独自の体系を持つ医学を「正規の医療」として認めているところもある。世界を見渡せば、医療の世界は実に多彩なことが分かる。ところが私たちは、国民皆保険のおかげで世界一の長寿国になった反面、西洋医学以外の医療に触れる機会をほとんど失ってしまった。


 「薬浴」が注目されるチベット医学

 チベット医学と出会ったのは数年前のこと。中国の青海(チンハイ)省の省都、西寧(シーニン)市にある「アルラチベット医学センター」を訪れ、アイ・ツォンチェン(艾 措千)先生から「蔵医(チベット医学)」の病院や大学、製薬会社、広大な薬草園などを案内していただいたのである。  「アルラ(Arura)」というのは薬草の一種で、身体の調和を保つ効果があるところからチベット医学で最も広く使われている植物の実のこと。アイ先生はアルラチベット医学大学の学長をはじめ、傘下の病院の理事長や製薬工場の会長などを兼ね、「アルラ蔵医薬集団」全体を統括している。
 その中で最も印象に残ったのが「薬浴センター」だった。中国各地からやってくるリウマチの患者さんをはじめ、神経疾患や皮膚疾患に悩む患者さんを、チベット医学独自の「薬浴」で治療している。リウマチの治癒率は7割を超えているとかで、中国での評価も高い。


 同じリウマチでも治療方法は別

 リウマチは免疫が正常に機能しないために起きる自己免疫疾患とされているが、チベット医学では、その免疫不全を薬浴によって正常に戻そうとする。そのため一口にリウマチと言っても、患者さんによって一人ひとり症状が異なるため、薬浴の処方もまたそれぞれ異なっている。しかも、同じ種類の薬草でも、積んだ季節や時刻、積みとった場所が南斜面か北斜面かなどによってそれぞれ微妙に効能が異なるとかで、それぞれ使い分けている。さらに、症状によって毎日の入浴の回数や薬湯の温度、薬草の組み合わせや使い方、治療期間などが異なり、処方は途方もなく複雑で多岐にわたる。同じリウマチでも、人によって治療方法が全く異なっているのである。


 代謝を促すバスソルト

 体質を変えるためには体内の老廃物を一度、外に出してやる必要がある。つまり、汗や尿、便などによって代謝を盛んにするのである。その後で薬草の成分を体内に取り込み、徐々に免疫を改善していく。
 老廃物の排出は「デトックス(detoxification)」としてよく知られるようになっているが、その代謝を促進する上で効果を上げているのが「岩塩」である。
 中国の青海省はその名の通り、標高3,200メートルの高原に、周囲360キロに及ぶ世界で二番目に大きい塩湖「青海湖(チンハイフー)」があることで知られている。ちなみに世界最大の塩湖は米国ユタ州の「Great Salt Lake」である。
 岩塩は、かつて海だった内陸の塩湖が干上がってできたもので、単なる「塩化ナトリウム」の塩と異なり、種類によってカリウムやマグネシウム、カルシウム、銅、鉄分、硫黄、コバルトなど、さまざまな微量ミネラルを含んでいる。こうした成分が新陳代謝を促し、同時に、身体に必要な微量ミネラルとして体内に取り込まれる。太古の海が気の遠くなるような年月を経て地上で変化した岩塩は、現在の海の塩とは似て非なるものなのである。
 尾籠(びろう)な話で恐縮だが、硫黄分を大量に含んだ岩塩のお風呂に入ると、しばらくはおならの匂いまでが硫黄の匂いになる。岩塩の威力はそれほど強力とも言える。


 バスソルトのお風呂だと、なぜかよく眠れる

 岩塩のバスソルトがいかに体質を変えるか、それを確かめるには自分で試してみる以外に方法はない。筆者の場合、バスソルトのお風呂だとたっぷり汗をかくせいか、実によく眠れる。盛んな代謝による心地よい疲労が、Non-Rem睡眠を持続させるせいではないかと考えている。さらに、翌日のお昼過ぎまで身体があたたかく、お通じがよくなり、ひどい肩こりがやわらぐ。よく考えると、これは上質な温泉に入ったときと同じものだ。
 チベット医学で使用されている岩塩のバスソルトが「NUMCA(ナムカ)」の名で日本でも使えるようになっている。
 さる高名な女優さんは「NUMCAのお風呂に入るとぐっすり眠れるので疲れがよく取れる」と地方の舞台公演などにも持参、もっぱら熟睡するためにご愛用とか。岩塩は、塩化ナトリウムだけのいわゆる「お塩」とは異なり、各種の微量ミネラルで構成されている。お風呂の配管を傷めるのではないかと心配する向きもあるようだが、チベットの「薬浴センター」を見る限り金属を「腐食」させるようなことはなさそうだ。


 チベット医学は「養生の医学」

 チベット医学が体系化されたのは八世紀中頃のこと。チベット伝統の医学に中国やインドなどの医学を取り入れ『四部医典』としてまとめられている。万物の起源を五元素(土・水・火・風・空)に置き、人体の要素を三大要素(ルン・チーパ・ベーケン)に求め、脈診を基本に病状を診断して、さまざまな治療方法を組み合わせながら治療していく。
 膨大な文献の『四部医典』は、「タンカ」と呼ばれる「医学掛け図」にまとめられ、文字を読めない人にも分かるように「絵図」で示されている。それを見ると、厳しい自然環境を生き抜くためには、まず病気にならなにようにすることが最も大切なのだということが分かる。そのためタンカの大半は、病気の仕組みを説くとともに、季節ごとに何を食べ、何を着、どう過ごすのが最善か事細かに記すことに費やされている。いわば生活環境に即した「養生訓」である。
 岩塩を活用したバスソルトのお風呂は、チベット民族が生んだ「生活の知恵」とも言えそうだ。
(Text & Photographs in Tibet/設楽 康平、 Photographs of NUMCA/寺田 明香)


※NUMCAのバスソルトは「医薬品」ではありません。
日本では「浴用雑貨」として販売されておりますので予めご了承ください。

 

株式会社ナムカ

Tel. 03-3269-1326
http://www.numca.com/

 

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