縁結びの聖地 出雲 「遊膳」の夫婦箸をプレゼント

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伊勢神宮とともに特別な神社とされる出雲大社は、2016年3月に「平成の大遷宮」を終えたばかり。
“縁結びの聖地”として若い人たちに人気があるが、周辺にはこの国を知る上で興味深い見所がたくさんある。

神話と伝説の世界

出雲大社参道に至る神門通り

出雲大社参道に至る神門通り

出雲大社(いづもおおやしろ)は、いつ誰によって造られたものか、実はよく分かっていない。それほど古い。この地域には今も「古事記」や「日本書紀」の虚実入り混じった神話と伝説の世界が生きていて、不思議な魅力を湛えている。それは、この国がどのようにして生まれ、どのような価値観と世界観を育んできたのかを知る手がかりともなるだろう。「日本人ならぜひ一度は訪れてみるべきパワースポット」ということなので、元気なうちに大急ぎで行ってみた。

参詣は大きな楽しみ

島根県の出雲空港は別名「出雲縁結び空港」と呼ばれている。この愛称はもちろん、縁結びの神様として知られる出雲大社にちなむもの。宍道湖の西端にあって実際、出雲大社に近い。空港でレンタカーをしてナビをセット、走りだしたら30分足らずで着いた。大鳥居は補修工事中だったが、長い参道をのんびり歩くのは実に楽しい。つい、沿道のお店に寄りたくなるが、まずはお詣り。昔の人もきっと、物見遊山をしながらお寺や神社を巡るのは、大きな楽しみだったに違いない。

松並み木の参道正面前にある「勢溜(せいだまり)の大鳥居」(木製)

松並み木の参道正面前にある「勢溜(せいだまり)の大鳥居」(木製)

祭神は「だいこくさま」

伊勢神宮が皇室の祖先とされる「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」を祀るのに対して、出雲大社は国作りの偉業を成し遂げた「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)」を祀っている。米俵に乗って福袋と打出の小槌を持って微笑む福の神「だいこくさま」は、この大国主大神とヒンズー教にルーツを持つ密教の大黒天が一緒になったもの。「因幡の白兎」の神話にも登場する。神話はもちろん事実とは異なるのだろうが、そこには、そうあってほしいという「真実」が込められているはずだ。

相撲の始祖「野見宿禰命(のみのすくねのみこと)」を祀る神社。神苑に土俵が見える

相撲の始祖「野見宿禰命(のみのすくねのみこと)」を祀る神社。神苑に土俵が見える

大国主大神と因幡の白兎

大国主大神と因幡の白兎

大国主大神が「幸魂(さきみたま)・奇魂(くしみたま)」を拝載する「ムスビの御神像」

大国主大神が「幸魂(さきみたま)・奇魂(くしみたま)」を拝載する「ムスビの御神像」

拝殿の注連縄(しめなわ)は長さ6m、重さ1.5トンもある

拝殿の注連縄(しめなわ)は長さ6m、重さ1.5トンもある

お互いの役割を分担か

大国主大神は素戔嗚尊(すさのおのみこと)の子孫で、その素戔嗚尊は天照大御神の弟。八岐大蛇(やまたのおろち)を退治したことで知られる。やがて大国主大神は「豊葦原瑞穂国(とよあしはらみずほのくに)」(日本のこと)を高天原(たかまがはら)の天照大御神に譲り(いわゆる「国譲り」)、ご自身は社(やしろ)に鎮まることにしたのである。その社が出雲大社だった。つまり、伊勢神宮は地上の世界を見守り、出雲大社は天上の神々を司って、お互いの役割を分担しているかに見える。

拝殿の奥が本殿。ここでの作法は他の神社と異なり「二拝・四拍手・一拝」

拝殿の奥が本殿。ここでの作法は他の神社と異なり「二拝・四拍手・一拝」

縁を結ぶ力

ところで、出雲大社はなぜ「縁結びの神様」なのだろうか。それは、大国主大神が素戔嗚尊の娘、須勢理毘売命(すせりびめのみこと)と結婚して夫婦仲が睦まじかったことにもよるが、むしろ年に1度、旧暦の10月に全国の神々が集まる「神在祭(かみありさい)」に理由がありそうだ。つまり、ここで福の神「だいこくさま」は、単に男女の仲だけでなく、「縁結びの力」によって神と神、人と神、人と人との縁を結び、この国を平和で豊かな国にしようとしたのではなかろうか。

この場所に、本殿の床下を支えていたと推測される3本組の巨大な柱があったという

この場所に、本殿の床下を支えていたと推測される3本組の巨大な柱があったという

人知を超えた「縁」

考えてみると「縁」というのは誠に不思議なものだ。親子、兄弟姉妹、夫婦、仕事仲間やお客さま……その「縁」によって幸福になったり不幸になったり、人知を超えた不思議な力を持っている。そうであればこそ「良いご縁を」と願わざるを得ない。神代(かみよ)の昔から、日本人はこうしてさまざまな神(八百万の神)に祈りを捧げながら天変地異を鎮め、良縁を願ってきたのだろう。そういえば、日本の家屋に「縁側」が作られなくなって久しい気がするが……大丈夫だろうか。

本殿(国宝)は「大社造り」と呼ばれるわが国最古の神社建築様式。棟に千木(ちぎ)と勝男木(かつおぎ)を載せている

本殿(国宝)は「大社造り」と呼ばれるわが国最古の神社建築様式。棟に千木(ちぎ)と勝男木(かつおぎ)を載せている

寄りたいところは多い

出雲大社のお詣りのついでに寄るところは多い。島根県立古代出雲歴史博物館とすぐ近くの稲佐の浜にはぜひ立ち寄ってほしい。灯台と夕日が美しい出雲日御碕(ひのみさき)や「夫婦椿(めおとつばき)」で有名な八重垣神社、松江城、小泉八雲の旧居、それに温泉好きには玉造温泉もあるし、「水木しげるロード」ですっかり有名になった境港市(鳥取県)も近い。山陰自動車道が通っているのでドライブも快適。思い立ったら明日にでも出雲へ行ってみよう!

屋根は重厚な檜皮葺(ひわだぶき)

屋根は重厚な檜皮葺(ひわだぶき)

檜皮(ひわだ)は樹齢70年以上の檜(ひのき)の立ち木からむいた樹皮。
木を切らないので、自然環境の保護に適している。
釘を一切使わない精巧な組み木建築はわが国独特のもの。
「二重亀甲剣花角」は出雲大社の神紋。
本殿の真後ろに位置する「素鵞社(そがの
やしろ)」。大国主大神の祖先、素戔嗚尊
(すさのおのみこと)を祀っている。
控えめな造りだが、様式は重厚。
モダンな外観の島根県立古代出雲歴史博物館。
エントランスを入ると正面に巨大な「宇豆柱(うづばしら)」の遺跡が現れる。
そうなると、かつては高さが48mも
あったと伝わる巨大な建造物が、に
わかに信憑性を帯びてくる。
さまざまな説に基づいて創られた古代出雲大社の模型。
出雲ではおびただしい数の銅剣が発掘されている。
銅鐸や勾玉(まがたま)なども多く出土しており、神話と実話が微妙に交差する。
階上のカフェで「夫婦善哉」ならぬ
「出雲ぜんざい」をいただく。
神門通りに戻ってしばし散策。
名物・出雲そばや宍道湖・神西湖の大和シジミもうまい。
そこで見つけたのが手作り箸工房「遊膳」。
若狭が近いせいか、箸はほとんどが小浜産。
店長の伊藤直人さんは出雲生まれの出雲育ち。
地元で子どもを育てながら「幸せの箸渡し」に励んでいる。
近くの「稲佐の浜」は神事の舞台。大きな岩は、それ自体がご神体だ。
●島根の観光に関する問い合わせ
・にほんばし島根館 Tel.  03-5201-3310 http://www.shimanekan.jp/・手作り箸工房「遊膳」 Tel. 0853-53-5654
●読者プレゼントのお知らせ
エントリー期間中、セゾンカード・UCカードを1,000円以上ご利用いただいた方で、読者プレゼントにご応募いただいた方の中から抽選で1名様に、出雲大社参道の手作り箸工房「遊膳」で見つけた打出の小槌が描かれた夫婦箸のセットをプレゼントします。
※当選者の発表は、賞品の発送(2016年7月中)をもってかえさせていただきます。
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