World Walking Vol.13 Basque 2 - San Sebastian & Saint-Jean-de-Luz - 「harmony」のバスクリネン・ティータオル3枚セットを3名様にプレゼント

太陽のイメージが強いスペインのなかで、バスク地方は降雨量が多い地域のひとつとされています。この雨によって作られた美味しい野菜や、新鮮な牧草で育った牛、そしてビスケー湾の豊かな海産物で作られる「ヌエバ・コッシーナ(新しい料理)」を求めて世界中からたくさんの人が集まってきます。前回のビルバオ、ゲタリアに続き、スペイン側のバスク州最北の街サン・セバスティアンとフランス側のバスク地方サン=ジャン=ド=リュズをご紹介いたします。

サン・セバスティアンとはどんな街?

近年日本でも注目を集めるスペイン・バスク州のサン・セバスティアン。そもそもどのような街なのでしょうか。

地理としては、フランスの国境から20kmほど、スペイン北部のギプスコア県にあり、地名はキリスト教の聖人「聖セバスティアン」が埋葬されたことに由来します。バスク語では「ドノスティア(Donostia)」と呼ばれ、ビスケー湾を望む美しい景色と豊かな食を求めて、ヨーロッパの貴族が訪れる高級保養地として繁栄しました。

この街の玄関口となるサン・セバスティアン空港まではヨーロッパの主要空港からバルセロナかマドリードを経由し、イベリア航空かブエリング航空の国内線に乗り継いで来るか、パリからボルドーなどを通る鉄道を使い陸路から入る方法があります。東京からはイベリア航空が唯一マドリードまでの直行便を提供していますが、いずれにしても日本から直接訪れるには18時間以上かかる場所です。それでも訪れたくなる魅力が、この街には詰まっています。

サン・セバスティアンの空の玄関口「サン・セバスティアン空港」は、国内線のみの小さな空港。
2012年からバルセロナ便を毎日運行しているLCC(格安航空会社)ブエリング航空。バルセロナ滞在後にサン・セバスティアンへ訪れるなら、最も便利な手段だ。
ランドマークの中心的存在「サン・セバスティアン大聖堂」。聖セバスティアンにちなみ、「善き羊飼いの大聖堂」と呼ばれている。
夜のコンチャ湾が一望できるホテル群は、かつての高級保養地を彷彿とさせる。
昼はヨットが浮かび、穏やかな日差しの中でくつろいでいる。
街のいたるところに花壇が据えられ、美しい花が街並みに彩りを添えている。
大西洋へと抜けるウルメア川にかかるマリア・クリスティーナ橋。巨大なオベリスクは街のシンボル。
パリのリッツを設計した建築家、チャールズ・ ミューズの手による「Hotel Maria Cristina」。サン・セバスティアン国際映画祭で訪れるムービースターに愛されるホテルとしても有名。

いま、世界中のグルメが集まる街

この街の最大の魅力は、「ヌエバ・コッシーナ(新しい料理)」と呼ばれるムーブメントによって進化したバスク料理の数々。スペイン料理といえばパエリアや生ハムなどが有名ですが、実は地方によって食される料理には様々なバラエティがあり、伝統料理とひとくくりにすることはできません。なかでも、このバスク地方から始まったとされる新しいスペイン料理は“新バスク料理”とも呼ばれ、伝統的な料理をベースに独自の解釈で再構築している点がユニークです。

ミシュランガイドで星を獲得しているレストランも多く、旧市街のバルで食べるタパスやピンチョスもそれぞれ趣向が凝らされています。素材を活かしたシンプルな料理から、精巧なミニチュア料理、分子料理で再構築された理科の実験のような一皿まで、お店によって得意とするレシピは実に多種多様。気になったお店に入って2〜3品を選んで食べたら、小一時間で次のお店へ移るというバル巡りがサン・セバスティアンの夜の楽しみ方です。

旧市街は右も左もバル。夕方から深夜まで多くの人で賑わう。
カウンターには数え切れないほどのタパス、ピンチョス、ミニチュア料理が並ぶ。
世界一の美食の街は、味ももちろん、食事を楽しむ人たちの雰囲気が素晴らしい。
人気店のひとつ「NESTOR」の店内には、訪れたサッカー選手のユニフォームが飾られる。混んでいてもオーダーはきちんと通るのでご安心を。
陽の長いサマーシーズンともなると、日付が変わる頃まで賑わっている。

料理のオープンソース「ヌエバ・コッシーナ」

このムーブメントのはじまりは、およそ30年前。“新バスク料理”を語る上で欠かせないシェフの一人であるフアン・マリ・アルサックや、「El Buli(エル・ブリ)」を率いたフェラン・アドリアなどの若きシェフたちが、旅するように世界中で料理を学び、フレンチの新しい潮流となったヌーベル・キュイジーヌと出会います。ヌーベル・キュイジーヌとはフランス語で、「新しい料理」を意味するムーブメント。伝統から形骸化した部分を取り除くことでフレンチに革命を起こしました。

この「新しい料理」という流れに影響を受けた彼らは、バスク地方で採れたものを使い、伝統を理解した上で新しい調理法を試み、世界に大きなインパクトを与えたのです。しかも、それは決して難解なものではありませんでした。誰もが手に入れることのできる地元の素材を使い、人気店のレシピも最先端の分子料理も、みんなでシェアすることでバスク地方のシェフ全体のレベルを一気に引き上げたのです。この「みんなで教えあう」というマインドが、サン・セバスティアンをはじめとするバスク地方のクリエイティブで刺激的な風土を作っているように感じます。

ステーキのピンチョスが有名な「GANDARIAS(ガンダリアス)」で人気の一皿「マッシュルームのピンチョス(Pincho de Champiñones) 」は、温めてもらうとさらに美味しい。
こちらは新鮮なイワシのピンチョス。酸味とパプリカの甘みがマッチ。
このサイズならステーキも楽しめる。こうして2〜3皿をつまんだら次の店へ。
チャコリは不思議とどんな料理にも合う。ワインより軽いので、食事をしながら飲むのにぴったり。
新鮮なトマトにオリーブオイルと塩だけのシンプルな一皿なのに、なんともうまい!
フォアグラを使った一品は、ソースが絶妙。フランスの影響もあり、バスクではソースのクオリティがとても高い。

文化交流を促すクリエイティブマインド

こうした料理の新しい潮流は、スペインの一地方都市であるサン・セバスティアンを世界が注目する一大グルメ観光地に成長させました。また、2016年には欧州文化首都にも選ばれ、市民と行政が一体となって開催するユニークなイベントが一年を通して数多く用意されています。イベントのプログラムは実に多彩で、特に7月から9月のサマーバケーションの時期には毎週街のどこかでイベントが開催されるほど。

特に有名なイベントが、7月に開催されるジャズの祭典「Jazzaldia(サン・セバスティアン国際ジャズ・フェスティバル)」と9月に開催される「サン・セバスティアン国際映画祭」。どちらのイベントも歴史が長く、ヨーロッパ中からファンが訪れます。特に1966年から続く「Jazzaldia」は、5日間に渡って街中にジャズが響き渡ります。ステージには無料と有料がありますが、市が協賛していることもあり、有料でも10〜50ユーロ程度と破格。いずれの会場もアーティストとの距離が近く、ファンにはたまらないイベントです。

旧市街を練り歩くブラスバンド。町中がジャズのパッションに包まれる様は壮観。
大西洋に沈む夕日をバックにした公立図書館前の無料ステージでは、「Ernie Watts Quartet(アーニー・ワッツ・カルテット)」の骨太なサックスが鳴り響いていた。
ラ・コンチャ湾を望む遊歩道では、ストリートパフォーマーに混ざって演奏する学生らしき音楽家たちの演奏も。
無料のステージは街のいたるところに設置され、ハイネケンを片手に心地よい時間が過ぎていく。
ビスケー湾に面したメイン会場では、ビッグバンドを中心にプログラムが組まれ、最終のステージは24時から始まる。JAZZの宴はまだまだ終わらない。
2017年9月に来日した「Kamasi Washingtont(カマシ・ワシントン)」もラインナップ。ファンが会場を埋め尽くした。
「The Plaza Trinidad Stage」は、城壁に囲まれた天然のコンサートホール。
最新作『ハーモニー・オブ・ディファレンス』のリリースも記憶に新しいが、この距離で堪能するPatrice Quinnとの「Henrietta Our Hero」は最高。

電車やバスで気軽に行けるフランス領バスク

さて、前回の記事でもご紹介したように、バスク州はスペイン側だけですが、バスク地方と言われる場所は隣のフランス側にもあります。通称「北バスク」とも呼ばれるこのエリアはヨーロッパのリゾート地として人気を集め、バケーションのシーズンにはヨーロッパ各地から人々が集まります。今回はバスク・リネン発祥の街「サン=ジャン=ド=リュズ 」へ向かいました。サン・セバスティアンからはバスや鉄道で気軽に行けるので、ぜひフランス側のバスクも訪れてみるのをお勧めします。

また、観光客の中にはペットを連れている人を多く見かけるのも、日本人からすると羨ましくも不思議な光景です。EUでは別の国へペットを連れていく際、煩雑な検疫検査を受けずに通過できる「Pet Passport Initiative」という制度が用意されています。ペットの体にマイクロチップを埋め込むことでペット用のパスポートが発行され、飼い主の情報や予防接種などの受診履歴が記録されるこのシステムによって、ペットも気軽にバカンスへ連れていくことができるのです。

切符は駅で手軽に購入でき、比較的時間も正確なので日帰り旅行は実に快適。
それぞれの好きなように生活している雰囲気が実に軽やかに映る。
偶然にもこの地方の正装に身を包んだマーチングバンドが私たちを迎えてくれた。ともかくお年寄りが元気なのが印象的。
街中ではツーリストが犬を連れていることも。愛犬と気軽に旅行ができるなんて、なんと幸せなことだろうか。
EU圏では、どこに出かけるにもペットを家族として一緒に動くことができる。これは飼い主にとって当然の権利だ。
リゾートということもあって、街の雰囲気はどこまでも穏やか。
街はバスク伝統の建築様式でまとまっており、まるで絵本の世界のような美しさを感じさせる。
ビーチは混むことも少ないようで、時間の流れまでゆったりしているように感じる。
伝統的なバスクカラーでまとめられたサン=ジャン=ド=リュズの駅。小ぶりで趣がある。

バスクの食を凝縮した市場へ

新しい街に着くと、まず訪れたいのは市場。サン=ジャン=ド=リュズ の目抜き通りと言えるヴィクトル・ユゴー通りに面した「Les Halles(レ・アール)」市場は、この地方の食材を集めた地元の台所と言える場所。チーズやハムはもちろん、果物や野菜、近海で獲れた豊富な魚介が並んでいます。その場で買い求めたハムやチーズをバゲットに挟んでサンドイッチにして、ビーチでランチをするのも気持ちが良さそうです。

また、シーフードならルイ14世広場や市場周辺のレストランでも新鮮な牡蠣やエビなどを冷えた白ワインと一緒に楽しめます。晴れた日はテラス席でランチタイムを過ごす人がたくさん。週末ともなればフェスティバルなどで賑やかな街並みを眺めながら優雅なひと時を満喫できます。市場のすぐ前にはツーリストオフィスもあるので、地図などをもらったりイベントの情報を求めたりする際には便利です。

休日の「Les Halles(レ・アール)」市場は観光客と地元客で大賑わい。散策するならお昼前がおすすめ。
生ハムやサラミは好みのサイズにカットしてもらえるので、味見して気に入ったものは迷わず買い求めてしまう。
チーズだけでもこれだけの種類があり、食の豊かさを改めて実感する。
タイミングが合えば新鮮なマグロの切り身を手に入れられることも。オリーブオイルと塩だけでワインのつまみに最高!
魚介類などをホテルに持ち帰りたい場合は、保冷バッグを用意するのが賢明。キッチンがあれば地元の食を堪能できる。
目にも鮮やかな野菜やハーブが並び、生産者から直接購入できるマルシェの魅力を再確認する。
市場の周りではマルシェ以外に様々なイベントをやっていることも。この日はパエリアのコンテストが開催されていた。
食欲が刺激されたら近くのバルで一休み。テラスで冷えた白ワインと新鮮な魚介を堪能しよう。
オイスターにシュリンプ、オイルサーディンやマグロなど、豊富な海の恵みに感謝。
とりとめないおしゃべりと美味しい食事があれば、人生にこれ以上の幸せはない。

名産品から知る歴史

サン=ジャン=ド=リュズ をはじめとするフランス側のバスクには、この地が発祥の名産品がいくつもあります。そのひとつが「バスク・リネン」と呼ばれる美しい布。伝統的なデザインは7本のストライプがあしらわれたものが多いのですが、これは「サスピアク・バット(7つは1つ)」と呼ばれるバスク地方の7つの地域を象徴しています。もともとは飼っている牛の日除け、虫除けに大判の布を掛け、それぞれの家庭の色を用いて判別していたのが始まりですが、現在ではカラフルな生地に様々なデザインが施され、テーブルクロスやランチョンマット、ベットカバーなどの生活用品として重宝されています。

他にも、アッパーがキャンバス地でソールが柔らかなジュート縄でできている「エスパドリーユ」もこの地方が発祥とされています。今では夏のファッションアイテムとして広く知られ、いかにもビーチリゾートに似合う靴ですが、もともとはピレネー山脈の農村で生まれたもの。エスパルトという丈夫で柔らかいイネ科の草で作っていたロープを靴底に使うことで足を保護していたそうですが、天然素材で乾きも早く、価格も手ごろだったため船乗りや漁師にも愛用され、転じてビーチでサンダルがわりに履くリゾートスタイルのアイテムとして人気が出ました。こうした背景を知ることでその土地への想いが強まるのも、旅の喜びといえます。

バスクリネンは鮮やかな色使いと柔らかなリネンの風合いが特徴。普段使いに何枚あっても嬉しい。

バスクリネンのお店はシックなデザインからポップなデザインまでたくさん軒を連ねている。

エスパドリーユは日本の夏にもぴったり。室内履きにするのも良い。

独自の文化を大切に育む面白さ

観光に特化した大都市ビルバオ、ゲタリアやベルメオといった小さな港町、新しい料理のムーブメントを牽引するサン・セバスティアン、のどかなビーチリゾート、サン=ジャン=ド=リュズ 。いずれの土地でも感じたのは、その土地独自の伝統に誇りを持ち、文化と魅力を最大限に生かしていること。ですから今回ご紹介した街は、バスク地方の魅力のほんの一部にすぎません。

今回の旅で感動したことの一つに、世界的に評価されている有名レストランでありながら、そのお店がドレスコードを設けていなかったことがあります。なぜなら、彼らにとってその店はあくまで地元の美味しいレストランの一つに過ぎないからだというのです。普段着で最先端の味を楽しむことができるという開放感は、何物にも勝る体験でした。国際的な大都市ではなかなか感じることのできないローカルな空気こそ、バスクエリア最大の魅力なのだと思います。

この街に暮らす人々の生き生きと満ち足りた表情がとても印象的だった。

●この記事に関するお問い合せ
株式会社ゾディアック Libera編集部
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