富山県氷見市のワイナリー SAYS FARM(セイズファーム) SAYS FARMのワインを赤・白セットで3名様にプレゼント

SAYS FARMの秋は実りの季節。たわわに実るぶどうは、まさに太陽の恵み。

このところ、国産ワインの健闘が目立つ。海外の品評会でも優れた成績を残すワインが現れ、日本食への評価の高まりとともに、お寿司や天ぷら、すき焼きなどに合うワインも取りざたされるようになっている。そこで興味を惹くのが富山のワイン。それも「氷見の寒ブリ」で知られる魚所、氷見市で造られているというから見過ごせない。早速、氷見のドメーヌ、SAYS FARM(セイズファーム)に行ってきた。

SAYS FARMの開園から約10年、ぶどうの木も育ち、種類も増えた。

幸福度が高い富山県

法政大学大学院 政策創造研究科の「47都道府県幸福度ランキング」(2011年)によると、富山県は福井県に次いで第2位にランクされている。これは出生率や持ち家率、労働時間、交通事故件数、平均寿命など、40の指標についてそれぞれ10段階で評価したもので、富山県は評点平均7.20と極めて高く、1位の福井県の7.23と比べてもわずか0.03ポイントの差しかない。この暮らしやすさは氷見市を訪れてみるとよく分かる。都市の喧騒や過密と無縁ののんびりとした風土と、海の幸・山の幸に恵まれた美味しさ盛りだくさんの環境は、もうそれだけで「幸せ」を感じさせる。

SAYS FARMの丘陵地から富山湾を望む。その向こうにそびえるのは立山連峰。ここから見る光景から「氷見」と名付けられたとか。氷見市そのものが寒々としているわけではない。

耕作放棄地をぶどう畑に

富山県にはワイナリーが2つあるそうだ。そのうちの一つが氷見市のSAYS FARM。富山湾を見下ろす丘陵地を上がっていくと、小さなサインとともにぶどう畑が見えてくる。早速、このワイナリーを経営する株式会社T-MARKS ワイン醸造部 栽培醸造責任者の田向 俊(たむかい しゅん)氏に農園を案内していただく。元は漢方薬の素材、杜仲茶などを栽培する薬草園だったところを、耕作放棄地になっていたのでぶどう畑に替えたのだそうだ。土壌は水はけのよい珪藻土で、やや急な丘陵地だけに日当たりがよい。

サインも控えめ。急ぐと見落としてしまう。
丘の上の醸造所。ここから氷見市を一望できる。
農園には季節の花が植えられ、全体にゆとりを感じさせる。
わが国に多い棚仕立てと異なり、ここではボルドーやブルゴーニュ、ナパなどで見かける垣根仕立て。朝晩と日中との寒暖の差が激しくぶどうの栽培に最適。
富山湾の海面から蒸発した水蒸気が山からの気流にぶつかって急激に冷やされることが多く、霧や靄(もや)が発生しやすい。これがまた、ぶどうの生育にとって良い条件となる。
農園では草を食べてもらうためにヤギを飼っている。それがいかにも農園らしく、牧歌的な雰囲気をかもしだしている。
ここで飼われている鶏は南米チリ原産のアローカナ種。すべて有精卵で、卵の色は薄い水色。殻が固く、黄身にコクがあって美味しい。

世界にひとつだけのFARM

田向氏によると「ワイナリーが開園されたのは2008年のこと」で、まだ10年ほど。氷見で江戸時代から続く魚問屋「釣屋魚問屋(つりやうおどんや)」の次男、釣 誠二(つり せいじ)氏が突然「世界にひとつだけの、かけがえのないFARMをつくろう」と言い出して始まったのだという。ところが誠二氏は、最初のワインを口にすることなく、2011年に病を得て急逝してしまう。さて、どうしたものか。最初は「魚屋がなぜワインを?」と反対していたお兄さんの釣 吉範(つり よしのり)氏も、弟の真剣さに打たれて、ようやく事業の継続を承諾してくれたという。

丘の上に建つワイン醸造所。ブルゴーニュのドメーヌのように、ここではぶどうの栽培から醸造、熟成、瓶詰めまで、すべて自分たちの手で行っている。
醸造所と氷見市街の両方に面した釣 誠二氏を偲ぶ記念碑。彼が大切にし、後の世代にまで引き継ごうとしたさまざまな要素が描かれている。
スタッフは、ぶどうの栽培から醸造、樽詰めまで、全て一から学び、独学でワイン造りを身につけたという。
ワインづくりは急がない、慌てない、騒がないのがモットー。時間はたっぷりあるので、時間をかけてよいものを造る。
素材を惜しまない、手間を惜しまない、勉強を怠らない。そして、広告や宣伝にはなるべくお金を使わない。その余裕があれば、品質の向上にまわすという。
ラベルも至ってシンプル。自分たちでデザインし、自分たちで貼って箱詰めも行う。
「創業スタッフはわずか3名。全て手探りしながらここまできました」と田向  俊氏。釣 誠二氏の遺志を「心に刻んでいる」という。

ひたすらぶどうを育て、ワインを育む

船頭は失ったものの、船が漂うことはなかった。幸い、親会社は氷見漁港で知らぬ人のない超優良企業。ただそれだけに、亡き創業者に対しても親会社に対しても、恥ずかしいことはできない。取締役 農園長の山崎勇人氏を中心に、創業期のスタッフ3名はそれぞれの持ち味を活かしながら、力を合わせてワインづくりに力を注いできたという。その甲斐あって、主力の白ワイン用ソーヴィニヨン・ブランとシャルドネ種、赤ワイン用のメルロとカベルネ・ソーヴィニヨン種が順調に育ち、年間で総計25,000本を出荷するまでになったという。

ボトルにはコルク栓の上から蝋引きがなされており、シールは完璧。
ラベルは白地に印字しただけのシンプルなもの。2015年のメルロ(3,600円、750ml、税込)の出荷本数は2,205本だった。
SAYS FARMのメルロは、ずしりとした手応えのあるフルボディ。地元産の最高級黒毛和牛「氷見牛」との相性もよさそうだ。
「これぞメルロ!」といった力強い骨太の味わいで根強いファンを持つ。
こちらは2016年のソーヴィニヨン・ブラン(3,600円、750ml、税込)。年間の生産本数はわずかに1,444本と少ない。
かすかに発泡性がありながら、芳醇な味わい。香りと風味に優れており、すぐに売り切れてしまうこともあるとか。
赤のメルロと白のソ—ヴィニヨン・ブランは、ともにSAYS FARMを代表するワインに育っている。

ワインは料理の一部

SAYS FARMにはレストランとショップ、宿泊施設もある。規模は小さめながら、たたずまいはブルゴーニュのドメーヌと比べても少しも遜色はない。「ただワインを造って売るだけでなく、食事とともに楽しんでいただきたいのです。 遠方からのお客さんには、お泊まりいただくことも可能です」と飯田健児マネジャー。「ワインは、常に料理とともにある食文化の大切な要素。できれば、氷見の食材、氷見の料理とともに楽しんでもらえるようにしたい」とも。そのために、さらに新たなぶどうの苗木を探し、氷見の食材に合うワインを造っていきたいという。

屋外で食事を楽しむスペースも用意。
木の香り豊かなレストラン。奥には薪ストーブも。
一瞬、日本にいることを忘れそうになる。
魚介類をオリーヴ・オイルとトマトソースなどで煮込んだアクアパッツア。
美しく盛り合わせた鱒のコンフィ。
ハーブの風味豊かなチキンの煮込み。
アラカルトメニューも充実。こちらは黒毛和牛の超粗挽きハンバーグと野菜サラダ。他に農園のロールキャベツや氷見牛の牛筋カレーライスなどもある。
彩り豊かなキッズプレート。

地方で花開く豊かな食文化

富山県の氷見は、東京から見るとかなり遠いイメージがある。飛行機で行くか、北陸新幹線で行くか、それともいっそ車で行ってみるか……かなり迷う。現地での移動を考えて車で行ってみたが、関越自動車道、上信越自動車道、北陸自動車道とたどって、片道約5時間強を要した。東京から遠いということは、その時間距離に比例して“辺境”のイメージが強くなるが、それは全くの誤解であることがよく分かる。むしろ遠くへ行くほど、東京では味わえない豊かな食文化が花開いているのではないか。

素晴らしい眺望に恵まれた宿泊施設。
ラウンジスペースは料理教室などのイベントにも使用される。
薪ストーブのあるスペースは、それだけで心地良さを感じる。
宿泊は1組だけだが、ベッドルームは2つあるので家族連れでも泊まれる。
浴室もシンプルで快適。

釣 誠二さんに、感謝!

SAYS FARMのワインは、素人の舌をもってしても、とても素晴らしいものに思われた。短期間に、よくぞこれだけ完成度の高いワインを造り上げたものだと、感心せざるを得ない。それがすべて、手探りで行われたというのだから二度びっくり。「やればできる」と言葉で言うのは簡単だが、実際には雨が続けばぶどうは弱い。冷夏もまたやっかいだ。これまでに相当多くのぶどうを処分せざるを得なかったことだろう。そうしたスタッフの苦労を思うと、買い込んできたワインの最後の1滴までも味わい尽くしたいと思う。天国の釣 誠二さんに感謝しながら……。

SAYS FARMのショップも充実している。
ワインはほとんどのラインナップが揃う。さらに、ここでしか買えない逸品も。
富山県産のりんご「フジ」を使用したシードルも人気がある。
「つりや」のサバの燻製や牡蠣の燻製は絶品。ワインがいくらあっても足りなくなる。
ショップの一角には地元の工芸作家による作品も展示されている。
「氷見という恵まれた土地柄にあるので、この環境をフルに活かしていきたい。目指しているのは、世界でただひとつのOne and Only Says Farmです」と取締役 SAYS FARMマネジャーの飯田健児氏。
氷見の海の幸は、冬でも利用可能な波静かな富山湾によるところが大きい。
氷見の「つりや」のロゴマーク。「釣屋」という屋号も珍しいが、「釣(つり)」という苗字はさらに珍しい。
●SAYS FARMへの問い合わせ
Tel.0766-72-8288
http://www.saysfarm.com/
●読者プレゼントのお知らせ
エントリー期間中、セゾンカード・UCカードを1,000円(税込)以上ご利用のうえエントリーいただいた方の中から抽選で3名様に、SAYS FARMのワインを赤と白セットでプレゼントいたします。〈詳細〉
赤:SAYS FARM メルロ 2015(750ml)3,600円
白:SAYS FARM ソーヴィニヨン・ブラン 2015(750ml)3,600円

エントリー期間:2017年6月16日(金)〜2017年7月25日(火)

※当選者の発表は、賞品の発送(2017年8月中)をもってかえさせていただきます。

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