若冲、蕭白、芦雪ほか江戸の奇想画家8名の魅力に迫る! 奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド 東京都美術館「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」のペア観覧券を5組10名様にプレゼント

曽我蕭白 《雪山童子図》 紙本着色 一幅 169.8×124.8 明和元年(1764)頃 三重・継松寺

美術史家の辻 惟雄(つじ のぶお)氏は1970年、今から半世紀近くも前に、まだ30代後半の若さで『奇想の系譜』を著している。そこには、岩佐又兵衛や狩野山雪、伊藤若冲、曾我蕭白、長沢芦雪、歌川国芳といった、それまで傍流とされていた画家たちの魅力の数々が紹介されている。それに今回の展覧会では白隠慧鶴、鈴木其一を加えた、江戸時代の奇想画家8名の代表作が勢揃いする。

伊藤若冲 《紫陽花双鶏図》 絹本着色 一幅 139.4×85.1 江戸時代(18世紀) エツコ&ジョー・プライスコレクション

半世紀近くも前の著作

辻 惟雄(東京大学名誉教授)氏は、今年の秋の叙勲で「瑞宝重光章」を受賞している。2016年の文化功労賞、2017年の朝日賞と、これで3年連続、大きな栄誉に輝いていることになる。その最大の功績は、何といっても近年の“伊藤若冲ブーム”を招来させたことだろう。しかも、そのきっかけとなった著書『奇想の系譜』(ちくま学芸文庫) は半世紀近くも前に書かれたもの。30代後半で、すでにこれだけの業績を上げていたのだから、その慧眼には敬服するほかない。

伊藤若冲 《象と鯨図屛風》 紙本墨画 六曲一双 各 159.4×354.0 寛政9年(1797) MIHO MUSEUM

奇想の画家、その作品と背景

ところで筆者は、織田信長に叛旗をひるがえして滅ぼされた戦国の武将、荒木村重の妾腹の子が、家族が皆殺しにされた後もかろうじて生き延び、「長じて絵描きになった」ということまでは知っていたが、それが岩佐又兵衛その人だということは、この『奇想の系譜』を読んで初めて知った。この本では、その又兵衛をはじめ、山雪、若冲、蕭白、芦雪、国芳について、作品とその背景を詳細に紹介しているので、できれば今回の展覧会をご覧になる前に読まれることをおすすめしたい。

長沢芦雪 《白象黒牛図屏風》 紙本墨画 六曲一双 各 155.3×359.0 江戸時代(18世紀) エツコ&ジョー・プライスコレクション

芸術には「自由」が必要

ところで「奇想」とは何だろうか。『奇想の系譜』の「あとがき」で辻 惟雄氏は「<奇想>という言葉は、エキセントリックの度合いの多少にかかわらず、因習の殻を打ち破る、自由で斬新な発想のすべてを包括できる……」としているように、必ずしも異端であったり、風変わり、奇矯、残虐さであったりすることを意味しない。『奇想の系譜』に登場する作品群には、むしろ芸術にとって必須の独自性、自由な精神、先進性が横溢していて、“自由の系譜”と置き換えたくなるほどのびやかなものを感じる。

歌川国芳 《宮本武蔵の鯨退治》 大判錦絵三枚続 弘化4年(1847)頃 個人蔵

新発見・未公開作品も登場

今回の展覧会の特徴は、『奇想の系譜』で紹介されている6名の奇想画家に、若い女性に人気の鈴木其一と、最近、大きな注目を集めている歌川国芳を加えた8名の代表作が勢揃いすることだろう。狩野派を中心に土佐派、四条円山派、南画などの様式に沿った絵画が主流を占めていた時代に、よくぞここまで自由で斬新な個性を発揮できたものだ、と感じ入るほかない作品の数々だ。さらに、若冲、芦雪らの新発見・初公開の作品が多数登場することも魅力の一つ。海外からの里帰り作品も見逃せない。

白隠慧鶴 《半身達磨図》 紙本着色 一幅 192.0×112.0 江戸時代(18世紀) 大分・萬壽寺

研究者のおかげ

今回の展覧会の特別顧問を務める辻 惟雄氏は「これまで日本美術の傍流とされてきた作品に日が当たることは嬉しいこと」としつつ、その旗振り役を務めた教え子たちの活躍にも目を細める。その一人が、東京大学時代の教え子で、今展の企画・監修に当たっている山下裕二・明治学院大学教授。今回、登場する主な作品の解説をしながら「これまで未発見だった作品が次々に登場するのは大きな楽しみ」と師弟の呼吸もぴったり。こうした研究者のおかげで、日本美術のファンはますます増えそうだ。

観世能楽堂(GINZA SIX 地下3階)で開かれた報道発表会の席で「医者の道を目指していたのが、いつの間にか美の道に……」と語る辻 惟雄氏。

●奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド
会場:東京都美術館(東京・上野公園)
会期:2019年2月9日(土)〜2019年4月7日(日)
●展覧会への問い合わせ
Tel. 03-5777-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式ウェブサイト:https://kisou2019.jp
※開館時間、休館日、入館料、割引制度など、詳細については上記の公式サイトをご参照ください。
※2019年2月20日(水)、3月20日(水)はシルバーデーにより65歳以上の方は無料です。
●読者プレゼントのお知らせ
読者プレゼントにエントリーいただいた方の中から抽選で5組10名様に、東京都美術館で開催される「奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド」のペア観覧券をプレゼントいたします。エントリー期間:2018年11月16日(金)〜2018年12月25日(火)

※応募資格:エントリー期間中に、セゾンカードを1,000円(税込)以上ご利用いただいた方。
※当選者の発表は、賞品の発送(2019年1月中)をもってかえさせていただきます。
※(株)クレディセゾンが実施するほかのキャンペーンとの重複当選はございません。

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