World Walking Vol.26 Antibes & Vallauris —Côte d'Azur— ピカソのリトグラフ(レプリカ)を2名様にプレゼント

カンヌとニースのちょうど中間あたりに位置する街「Antibes(アンティーブ)」。この街は多くのアーティストに愛された場所ですが、その代表的な存在がパブロ・ピカソ。彼はコート・ダジュールを愛した芸術家のひとりで、特に晩年は隣街の「Vallauris(ヴァロリス)」に自宅を構え、絵画以外にも陶芸など精力的に創作活動を行いました。そして、友人や家族と穏やかな時を過ごし、彼の人生において最も穏やかなひとときを過ごした場所とされています。

美しく穏やかな港町「アンティーブ」

コート・ダジュールの海岸に面した華やかな街のなかでも、まるでエアポケットのように穏やかな空気に包まれているのがアンティーブ。もともと海洋貿易の要衝ということもあり、城壁に囲まれた街の作りが独特の落ち着いた雰囲気を生んでいるのかもしれません。旧市街にはレストランや美術館などが点在し、石畳の坂道と美しい街並みのなかに歴史の流れを垣間見ることができます。一転、地中海を望むと外洋には豪華なクルーザーが浮かび、南仏随一のバカンススポットであることを感じさせます。

海岸沿いのプロムナードからは地中海が眼下に広がる。どこまでも広がる海と空の青さが美しい。
街の周囲をぐるりと取り囲む城壁。どっしりとした作りが街の雰囲気に落ち着きを与えている。
アンティーブ・ハーバーから旧市街方面へ繋がる城門。象徴的なこのアプローチが街にコントラストを生んでいる。
街中は迷路のような小径が入り組み、散策気分を盛り上げてくれる。
民家の奥がパティオになっていたり、建物の下を抜けられるようになっていて、城砦の名残を感じる。
昼下がりに木陰でゆったりとランチを楽しむ姿は、いかにも南仏のバカンスらしい過ごし方だ。
アンティーブ大聖堂は別名「無原罪の聖マリア教会」とも呼ばれる。鐘楼は街のシンボルだ。

マルシェとビーチとジェラートと

ヨットやクルーザーが係留されるアンティーブ・ハーバーから「ヴェルダン通り」を通り、城門を抜けると旧市街。このアプローチを抜けるだけで、散策が楽しくなりそうな雰囲気です。マセナ広場の目抜き通りにあるのが、屋根付きのマルシェ「プロヴァンス市場(Marche Provencal)」。新鮮なハーブの色彩やバルから漂う美味しそうな香りが食欲をそそります。手作りアクセサリーや絵画などを売るアーティストのギャラリーが多いのも印象的でした。レモンやカシスを使ったジェラート屋さんには、好天の暑さも手伝ってつい並んでしまいます。ジェラートを片手に海岸沿いのプロムナードを歩くと、ピカソも泳いだと言われる「アンティーブビーチ」。みんな、太陽と潮風を満喫しています。

旧市街のマルシェ「プロヴァンス市場」は中心部にある。散策の休憩にもぴったりだ。

日差しのなかを散策しながら食べるジェラートは、ことさら美味しい。

フルーツやピスタチオ、コーヒー味などカラフルなジェラートに迷ってしまう。

ビーチは砂浜で、心地よい日差しとのんびりとした時間が流れる。

世界で最初の「ピカソ美術館」

そして、この街を訪れたら必ず立ち寄りたいのが「ピカソ美術館」。彼の多作ぶりはギネス記録になるほどで、ピカソの名を冠する美術館はパリやバルセロナ、スイスなど、ヨーロッパ中にありますが、世界で最初に誕生したのがここアンティーブの「ピカソ美術館(Musée Picasso)」。海岸沿いの素晴らしいロケーションに位置しており、美術館からは、彫刻やオブジェと一緒に、美しい地中海を見下ろすことができます。周辺には可愛らしい家々やアートが点在していて、散歩コースとしても人気です。

美術館の周辺にはさまざまなアート作品が点在しており、これらを見て歩くのも楽しい。

ローカルを歩くと、建物に使われる独特の色彩感覚が実に新鮮。

美術館のアプローチも美しく、フクロウを手のひらにのせたピカソが出迎えてくれる。

わずか2カ月で美術館ができる多作ぶり

美術館の建物は、もともと周辺をおさめていたグリマルディ家の城砦を改築したもの。その佇まいは実に堂々としたもので、ピカソは1946年に2カ月ほどこの場所をアトリエとして活動したという。広大なスペースを生かした大作のひとつ「生きる喜び」などは、ここで制作しました。この地を去る時に作品をアンティーブ市に永久貸与したことから、世界で最初のピカソ美術館となったのです。わずか2カ月でこれほどの数の作品を制作したのかと、彼の創作意欲に改めて驚かされる充実した展示内容です。時折差し込む地中海の日差しがなんとも印象的で、今でも目に焼き付いています。

「生きる喜び」をはじめとした絵画の他、彫刻、陶器なども展示されている。

絵画を追った視線の先に美しい光が差し込む。窓がそのまま額縁になったようです。

ピカソ美術館のエントランス。美術館のイメージとは裏腹に、城砦らしい重厚な外観。

心が安まる静かな陶芸の村「ヴァロリス」

アンティーブから10kmほどの距離にある隣の街が「ヴァロリス」。アンティーブでの創作を終えたピカソが暮らした場所でもあり、陶芸市が毎年開催される陶芸の街としても知られています。1946年、このイベントに訪れたピカソは、マドゥーラという窯元で作品を作りました。焼き上がった作品を非常に気に入ったピカソは翌年、この街にアトリエを作り、1948年から1955年まで、陶芸や彫刻、絵画などを精力的に制作します。その数は陶芸作品だけでも2000点以上に及ぶというから驚きです。パートナーであるフランソワ・ジローや息子のクロードとの暮らしぶりは、ロバート・キャパが撮影した写真作品で有名です。広場にはピカソ作のブロンズ像「羊を抱く男」などもあり、新しい創作ジャンルに目覚め、家族や友人とともに人生の喜びを謳歌したピカソにとって、この街が幸せな場所であったことが伝わってきます。

マルシェが催される広場にある「羊を抱く男」。絵画、陶芸、ブロンズと、作品の数だけでなく、表現方法に制約がないピカソの多才ぶりにも驚かされる。

天才芸術家のいきいきとした表情が実に新鮮で、作品だけでなく、彼の暮らしぶりに触れることができる貴重な場所だ。

この街には多くの友人が訪れたようで、あたかも遊ぶように、呼吸をするかのように、無理なく作品を生み出した彼のクリエイティブスタイルが伺える。

戦争の悲哀が表現された「国立ピカソ美術館」

さて、実はこのヴァロリスにも「ピカソ美術館」があるのをご存じでしょうか?
こちらの美術館は代表作「戦争と平和」を所蔵することから、「戦争と平和 国立ピカソ美術館」とも呼ばれています。「戦争と平和」は、ピカソ生誕70年を祝った街の人々に対して、感謝を表す意味で作られた作品。アーチ状の壁面全体に戦争への悲哀が描かれています。
建物は、12世紀の女子修道院を16世紀にヴァロリス城として改築したもので、ピカソの彫刻や陶芸、絵画に加え、彼がアーティストとコラボレーションしている様子や友人とふざけ合っている姿などを捉えた写真なども展示され、彼の素顔を伺うことができる貴重な美術館となっています。また、地元の作家の陶芸作品も展示される「陶芸美術館」、イタリアの現代美術作家「マニエリ」の美術館が併設され、別館では1946年から1973年のピカソの歴史を描いたドキュメンタリー動画なども観ることができ、なかなか見応えがあります。

美術館へのアプローチ。街に自然と溶け込んでいるのが印象的。

作品だけでなく、素のピカソに迫った展示内容がいっそう興味をそそる。

「ピカソのパン」で有名なロベール・ドアノーとの貴重なオフショット。

ドキュメンタリーフィルムが流れる別館。マリンボーダーのカットソーが印象深いピカソは、心から海を愛する男だった。

次回はコート・ダジュールの東へ

今回ご紹介したアンティーブとヴァロリスは、いわばコート・ダジュールの西側。反対の東側にはイタリアの国境と接した街「マントン(Menton)」がある。こちらはフランスの芸術家を代表するひとり、ジャン・コクトーが晩年を過ごした街です。レモンと新鮮な魚介類が名産で、丘から眺める景色はことさら美しく感じます。心地よい気候と豊かな農作物から生まれる食文化、そしてなによりも開放的な空気感を実際に肌で感じると、多くの芸術家がコート・ダジュールを愛した理由に触れることができるでしょう。

カラフルで美しい街並みのマントン。イタリアと接するこの街もまた、多くの芸術家を虜にした街のひとつ。

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株式会社ゾディアック Libera編集部
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〈詳細〉
・A
作品名:picasso Colombe Rameau (ピカソ 平和の鳩)
サイズ:約28×35.5cm

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作品名:picasso Les Taureaux (ピカソ 牡牛)
サイズ:約28×35.5cm

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