World Walking Vol.28 Amsterdam オランダのデザイン集団droog designとゴッホ美術館がコラボしたトラベルウォレットを3名様にプレゼント

風車やチューリップのイメージが強いオランダですが、最大の都市アムステルダムは、海運貿易の拠点として発展してきました。アムテルダム中央駅から放射状に広がる運河が独特の美しい景観をつくっています。都市部の多くは埋め立て地のため地盤が弱く、歪んでしまった建物たちがなんとも不思議な光景です。一方で、土地が平坦なため移動には自転車が重宝されます。宗教や思想にも寛容で、さまざまな国の人がそれぞれの文化を認め合いながら暮らす街、アムステルダム。運河と緑に囲まれたロマンチックな景色と、独自のカルチャーをご紹介します。

世界は神が作った。オランダは誰が?

「アムステルダム」は、文字通りアムステル川をせき止め、ダムとしたことから名付けられました。都市部の多くが埋め立て地として開発され、海抜は平均で2メートルと低く、坂が少ないのが特徴です。そのため多くの市民は日常の交通手段として自転車を利用しています。網の目状に流れる運河と橋はこの街のシンボル。現在は観光客向けの遊覧船が行き交います。岸に停泊している「ボートハウス」と呼ばれる船を自宅として暮らしている人もいて、なかには宿泊できる施設もあります。こうして自ら土地を開拓してきたオランダ人は、誇りを持ってこう言うそうです。「世界は神が作られたが、オランダは私たちオランダ人が作った」と。

街中に張り巡らされた運河と橋、そして遊覧船がアムステルダムのアイコンだ。

間口の広さで税金が決まるため、京都の町家のように、奥に長い建物。前後左右に傾いている建物も多く、独特の景観だ。

運河に浮かぶボートハウス。これで移動することはなく、主に住宅として使われている。しかし、最近は利用者も減っているという。

観光の移動にも自転車が便利

市民の足として活躍する自転車ですが、ツーリストが観光地を巡るのにも適しています。レンタルサイクルは街のあちこちにあり、パスポートとクレジットカードで手軽に借りることができます。また、倹約家のオランダ人は古いものでも大切に使うので、古着やアンティークなどのマーケットが確立されています。そのため、中古の自転車も街のあちこちで売られており、滞在する期間によってはレンタルするより安いことも。アムステルダムの中心部だけでも見所は意外と広い。歩いての移動では効率が悪いこともあり、自転車専用レーンも整備されているので、自転車を活用できれば行動範囲は一気に広がることでしょう。

レンタルバイクのショップは街の至る所にあり、気軽に借りることができる。

これは中古の自転車ショップ。オランダ人は古いものでも修理をしながら大切に使っている。

フリーマーケットや骨董市などは新しい物を売るお店と同じように活用されており、物が循環する仕組みが確立している。

自由な気風が生んだユニークな食文化

もともと個人の主張を認め合う気風のオランダ人。ときには真剣に意見をぶつけ合うことから「オランダ人が10人集まると、10の政党ができる」とまで言われています。一方で、さまざまな文化や習慣に寛容な部分もあるため、たくさんの人種がそれぞれの暮らしを守りながら生活しています。こうした風土によって、当然のことながら、ユニークな食文化が生み出されています。アムステルダムでぜひ立ち寄って頂きたい食のスポットをご紹介しよう。

運河沿いのカフェバー「Hannekes Boom」
街の中心部と北部を繋ぐ「s116」道路と運河が交わる、気持ちの良いエリアにあるカフェバー。2011年にオープンして、たちまち人気スポットになりました。運河沿いに広がるテラスが開放的で、ビールとハンバーガーが名物です。1960年代は港湾警備の要所でもあり、当時の警備兵からネーミングされました。

カラフルな外観で、夜はパーティなども開催される。アクセスのしやすさもあり、多くの人で賑わうそうだ。

ボリューム満点のハンバーガーはランチにぴったり。運河沿いの空気が気持ちいい。

廃棄食材をグルメに昇華させる「InStock」
日本でも大きな問題となっている廃棄食材。InStockはオランダの大手スーパーチェーンAlbert Heijinと農家が提携し、食べられるのに廃棄されてしまう食材を使ったレストラン。一流のシェフによって生まれ変わった料理は実に洗練されており、非常に意義のある食体験が楽しめます。

刑務所を改装した「LLOYD HOTEL」の近くにあり、感度の高い若者や観光客で賑わう。

店内には廃棄されずに済んだ食材の重量が表示されている。

料理はいずれもシンプルでモダン。「素材の良いところを引き出すのが僕たちの仕事」とは、シェフのヴィンセント氏。今後はキッチンカーも展開するそうだ。

真っ暗闇の食体験「Ctaste」
真っ暗闇のなかで視覚以外の感覚を研ぎ澄ます体験ができる「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は日本にもありますが、こちらはそのレストラン版。光が一切入らない空間で、盲目のベテランウェイターに導かれながら食事をします。カトラリーの位置や料理の内容は口頭で伝えられますが、かなり刺激的な食事を楽しめることでしょう。

Ctasteでは入り口で入念に説明を受ける。その先は一切光のない本当の暗闇が待っている。

外観にも「Dining in the dark.」のメッセージが。盲目のウェイターがどれだけ心強かったことか。

伝統料理なら「haesje claes」
伝統的なオランダ料理を楽しみたいならhaesje claesへ。ソーセージが入った緑豆のスープ「エルテンスープ」やコロッケの元祖「クロケット」、16世紀からあったとされる「ヒュッツポット」など、いわゆるオランダ版「おふくろの味」的な料理を楽しめます。素朴ながらも栄養価が高く、ビールとも合うので一度は試して頂きたい料理です。

エルテンスープは美味しくて栄養価も高い。旅で疲れた身体に優しく浸みる。

ニンジンなどと一緒にポテトをマッシュしたヒュッツポット。ザワークラウトやソーセージと一緒に。

100種類の地ビールを飲めるバー「Arendsnest」
100種類以上のオランダ産地ビール、さらに30種類以上はサーバーから生で飲むことができるビアバーです。アムステルダムの美食街、ヨルダン地区の運河沿いにあり、落ち着いた店内ではカウンター席から職人技のサーブを眺めることができます。個性豊かなクラフトビールは小さなサイズで3~5ユーロ程度なので、飲み比べて好みの味を見つけるのも楽しそうです。

鮮やかな手つきでビアサーバーからクラフトビールを注ぐ様子を眺めながらグラスを傾ける。

完璧なバランスの一杯。量もそれほど多くないため、じっくり好みの銘柄を見つけたくなる。

店内のメニューは手書きで、ビールの銘柄は常に入れ替わる。クラフトビールだけでこれだけの味が楽しめるバーはそう無い。

マイクロブリュワリー「Brouwerijt IJ」
オランダでは少量のビールを醸造するマイクロブリュワリーが流行っています。ここはアムステルダムで最も有名な醸造所で、オランダのアイコンともいえる風車が併設されているのが特徴。見学ツアーなどもあり、少量生産ながらこだわりの地ビールをその場で頂くことができる貴重な場所です。

風車が目印の「ブリュワリー アイ」。好天もあってテラスは多くの人で賑わっていた。

できたての一杯をその場で飲める幸せ。スッキリした味わいと豊かな香りが特徴。

ボルダリングカフェ「Klimmuur Centraal」
S116のHannekes Boom近くにあるKlimmuur Centraalは、アムステルダム最大のクライミングジム。店内にはカフェも併設されており、トレーニング風景を眺めながらコーヒーを楽しめます。

倉庫を改装した外観もユニーク。このあたりはユニークな施設が集まる注目のスポット。

心地よい雰囲気の空間にリラックスとアクティブが同居する。

芸術の街

フェルメール、レンブラント、ゴッホ。彼らはいずれもオランダが生んだ芸術家です。市内にはレンブラントが住んでいた家に当時の様子を再現した「レンブラントの家」や、ミュージアム・プレイン(美術館区域)と呼ばれるエリアには10年に及ぶ市民との対話を経て完成した「アムステルダム国立美術館」、リートフェルトが設計した「ゴッホ美術館」、現代アート美術館「Moco」(Modern Contemporary Museum Amsterdam)もあります。さらに、街中に小さなギャラリーや博物館もあるので、ゆっくりと散策しながらどっぷりと芸術に浸ってみてはいかがでしょうか。

オランダ800年の歴史が詰まったアムステルダム国立美術館
オランダ最大の美術館で、芸術だけでなくオランダ最大の美術史本の蔵書を誇る「カイパース図書室(Cuypersbibliotheek)」も有名です。特筆すべきは芸術だけでなく黄金時代の暮らしぶりがわかるドールハウスやアンティークなど、800年に渡るオランダの芸術と歴史を8000点に及ぶ展示品でまとめ上げていること。レンブラントの「夜警」やフェルメールの「牛乳を注ぐ女」など、貴重な作品もお見逃し無く。

歴史の重みを感じさせるアムステルダム国立美術館。入り口は中央のトンネルから。

レンブラントの「夜警」。本物の迫力に多くの人が足を止める。

内部を忠実に再現したレンブラントの家
レンブラントが実際に住んでいた家を、当時のままに再現したミュージアム。レンブラントが《夜警》などを手掛けた絶頂期に購入したものの、最終的に破産に追い込まれ競売にかけられました。結果的に、当時の暮らしぶりや所有物が克明に記録されることとなり、現代によみがえったのです。画家としてのレンブラントだけでなく、弟子を育てる教育者の一面や、ビジネスマンとしてどのように接客していたか、レンブラントの暮らしを通して人となりを身近に感じることができます。

レンブラントの家は写真右の建物だが、入り口は隣の新館から入り、中で繋がっている。

館内では当時の機械で刷るエッチングのワークショップなども開催される。

当時、レンブラントが収集したコレクションなども可能な限り再現されている。写真はレンブラントの資料室。化石や動物の骨なども収集していたようだ。

現代アートのブティックミュージアム Moco
2016年にオープンしたばかりの最新の現代美術館です。バンクシーやアンディ・ウォーホルなどの展示で注目を集めました。アムステルダムのライオネル・ギャラリーを経営する夫妻の市立美術館という立ち位置で、小ぶりながらも個性的なキュレーターによる企画展示が大きな特徴です。場所も、国立美術館やゴッホ美術館と近く、気軽に立ち寄れるところも魅力です。

豪邸を改築した美術館は、ギャラリーのようなコンパクトな構成なので、気軽に立ち寄れる。

Mocoで展示されているBanksy展のポスター。グラフィティのポスターが街中に掲示されるという、なんともバンクシーらしい展開。

ゴッホ美術館
ゴッホの作品を中心に、ゴッホに関する書籍なども多く所蔵する美術館。ゴーギャンやロートレック、日本の浮世絵など、彼に影響を与えた作品も展示することで多角的にゴッホに触れることができます。オランダ出身の建築家、リートフェルトによる直線を基調としたモダンな設計で、ゴッホのマチエールとのコントラストが実に新鮮な印象でした。

ミュージアム・プレインのなかでもひときわモダンな建築は、リートフェルトによるもの。

隣にはバスタブのような「市立美術館」。美術館が建ち並ぶエリアだけ散策していても、1日や2日では足りない。

エリア全体のランドスケープも素晴らしく、それぞれ思いおもいに時間を過ごせる。

デザインのトレンドを発信し続ける droog
作家で学芸員のレニー・ラマカースがディレクターを務めるデザイン集団で、世界中のデザインやアート、プロダクトなどを生活というフィルターに通して展開するギャラリーです。宿泊施設「hotel droog」やカフェも併設され、まさに潜在的なクリエイティブマインドまで刺激されるスポットです。

オシャレなショップが並ぶ「Staalstraat」にあるdroog。この中にカフェもホテルもショップもある。

館内のショップでは、ここで展示されたり制作されたりした作品を買うこともできる。

陽光が差し込むカフェもぜひゆっくり訪れて欲しい。

カフェから見える緑いっぱいの中庭。ここでイベントなども開催される。

個性的な博物館もたくさん!Kattenkabinet
花市場のそばにあるキャッテン・キャビネットは、その名の通り猫に関する博物館。ピカソやレンブラントによる作品からポスター、彫刻、映像と、館内は猫に関する作品で溢れています。よく見るとホンモノの猫もいたりして、猫好きにはたまりません。市内にはこうした、小さいけれど個性的な美術館や博物館がたくさんあります。古い住宅を改装した場所が多いので、マニアックなスポットを探してみるのも一興です。

一見気付かず、通り過ぎてしまうほど控えめなサイン。一般の住宅のような入り口だ。

館内は猫に関するアートばかり。猫好きにはたまらないマニアックな博物館だ。

ストリートアート
街を散策していると、さまざまなアートに触れることができます。学生によるオペラが突然始まったり、カルテットによる華麗な演奏がトンネルの向こうから響いてきたり、街自体が世界遺産という点を差し引いても、この街では芸術がとても身近なものだと感じます。日々、移りゆく景色を背景に、人々の中に溶け込み、無償で提供される優れたアートの数々。この大らかさと、市民を信頼する民度の高さも、アムステルダムの大きな魅力のひとつです。

レンブラント広場には《夜警》をそのまま彫刻にしたモニュメントがあり、観光スポットになっている。作品を傷つける市民などいない、という信頼の上に成り立っている。

街のあちこちで音楽や演劇、パフォーマンスが繰り広げられている。

人と文化が行き交う寛容な交差点

街の風景自体が世界遺産に登録されているアムステルダムは、他にもまだまだ見所がたくさんあります。街を歩いていても豊かな表情と、とても奥行きのある文化と歴史を感じさせます。特に、食文化と芸術は織物のように複雑に影響し合いながら発展し、これからもさらにワクワクするような新しい世界を見せてくれることでしょう。地理的にヨーロッパのハブとして多くの人や物、情報が行き交い、世界一裕福な街へと成長する歴史のなかで育まれた寛容な文化と、暮らしを楽しむ高度な美意識、その上に成り立つアムステルダムカルチャーは、これからも新しい驚きと感動を与えてくれそうです。

たまたまホテルの前では映画が撮影されていた。これからもどんどんユニークで自由な文化を発信し続けて欲しい。

●この記事に関するお問い合せ
株式会社ゾディアック Libera編集部
Tel. 03-6380-0530 info@zodiac1987.com
●読者プレゼントのお知らせ
読者プレゼントにエントリーいただいた方の中から抽選で3名様に、オランダのデザイン集団droog designとゴッホ美術館がコラボレートしたトラベルウォレットをプレゼント。

〈詳細〉
droog designはオランダを拠点に活躍するデザイン集団です。オリジナルデザインをはじめ、さまざまな美術館や博物館などとコラボレートした製品も制作しています。読者プレゼントのトラベルウォレットは、アムステルダムにあるゴッホ美術館とコラボレートした製品の一つです。
ゴッホの作品「荒れ模様の空の麦畑(1853-1890)」をモチーフに作られています。パスポートケースとしてはもちろん、旅の思い出を入れるポーチとしても使用できます。

サイズ:14×21cm
(二つ折りになっている本体を広げて使用することもできます。広げた時のサイズ:28×21cm)
ポケット:大28×21cm/1個・中14×21cm/1個・カードサイズ/4個
※布製品のため、サイズは多少異なります。ご了承ください。

エントリー期間:2019年7月17日(水)〜2019年8月26日(月)

※応募資格:エントリー期間中に、セゾンカードを1,000円(税込)以上ご利用いただいた方。
※当選者の発表は、賞品の発送(2019年9月中)をもってかえさせていただきます。
※(株)クレディセゾンが実施するほかのキャンペーンとの重複当選はございません。

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